7月21日〜26日開催のgallery DAZZLE企画『PREQUEL*SEQUEL はじまり*そのあと』が終了しました。
ご観覧いただいた皆様、ありがとうございました。
今回取り組んだテーマが「作品の前後譚を自作して描く」ことだったので、「お話を考える」という普段使わない脳を働かせながらの制作となり、とても刺激的でした。
一人で絵本作る人ってすごいんだな、とも思いました。
展示終了後、出先で冷房に当てられて喉と鼻を痛めてしまい、咳と鼻水で息苦しい毎日を送ってしまいました。。。
ようやく体調が回復してきたので、総まとめです。
映画『ルームメイト』の犯人、メンヘラ少女ヘディの半生を描いてみました。作った物語は文章ではなく、元の映画でヘディが発したセリフを絵に当てはめることで、彼女の人格形成に至る半生を連想するようにしてみました。かなりクドいので読みたい人だけ以下ご覧下さい(笑)
『鏡の中のエレン』
とりあえずこういうタイトルにしました。鏡の国のアリスからではなく、マイケル・ジャクソンの「Man in the miller」の『鏡の中の彼から変わろう』のフレーズからヘディの心情を連想しました。ヘディは全く悪い方向に“変わろう”としたんですね。
”私たちは信頼し合い、守り合ってる。私が必要なの。
だから嫌われてるだなんて言わないで。”
かつて双子の姉?がいたことは映画で触れられています。また、映画の冒頭で母親の化粧品でおめかしごっこしている双子の姉妹が出てきます。よほど仲が良かったんだろうと思います。ところが9歳のときにピクニックで水死したことが明らかになっています。
”鏡を観てよ。私とはすべてが違ってるわ。”
双子に生まれてきたのに、いつも差がついてしまう。これはヘディの独白なので、もしかすると失った姉を美化して自己評価が低くなり、良くない思い出が強烈になってしまったのかなと思いました。
”一卵性双生児って本当は似てないのよ。片方は美人で片方は違うの。いつもこき使われる。彼女は私を利用し、そして死んだわ。”
亡くなった姉はヘディから見ると良くできた存在で、いつも自分の比較対象として存在することを疎ましく思っていたのではないか。そして事故で亡くなるのですが、もしかするとヘディが原因に関わっていたのかなとも考えました。あんまりここを具体的にして変なイメージつくのが嫌だったので、ヘディにとってどんな情景だったかを強調しました。きっと川の水は黒くて今にも飲み込まれそうな深さのはず。
”見捨てないわ。あなたから離れない。”
映画の主人公アリーは「ヘディは姉を死なせた自分を許せなかった」と回想しています。直接の原因はともかく、この日を境に家族や自分自身の毎日が大きく変わってしまったこと、優秀な姉が亡くなり凡庸な自分のほうが生き残ってしまったことなど、より自分の存在意義を見いだせなくなってしまったのではないかと思いました。そんな自分を「見捨てないで、離さないで」というのが本音かも。
”私変わるわ。努力する。”
きっとヘディなりに強く生きていこうと決意した時期があったはずです。隣にいるはずの姉がいなくなったことで、失った半身を埋めるために彼女は「他の誰かになる」努力をするようになっていきます。
”もうダメよ。これ以上あんたを許せない。もうダメ。”
“死してもなお両親に深い影を落とし、生き残っている自分よりも強く存在感を持っていることが、ヘディにとってとても居心地が悪かったのではないかと思いました。いなくなってもいつまでも自分について回ることが許せなかったから、ヘディは姉の影から逃がれるように都会へ出たのでしょう。このセリフは映画の主人公アリーに裏切られたことでパン切り包丁(ノコギリみたいなやつ)をアリーの首筋に押し付けながら吐き出したセリフです。怖い〜!
”もう愛されようと思わない。脅えながら生きていたくない。独りになるのはいや。自分を偽るのもいや。生きる理由が何もないの。”
これはアリーを自殺に見せかけるために、アリーを脅して書かせた遺書の文面です。ヘディが話しながらアリーがタイプしていましたが、ぼくはどう聞いてもヘディ自身の言葉にしか聞こえなかったのです。
”私はあなたなのよ。この人は誰?誰も知らない、ここにも住んでない。素敵な色だったけどもう必要ないわ。”
人目をはばかり、アリーになりすまして生きてきた自分を知っている人はこの街には誰もいない。そのままの意味なのですが、誰かになろうとした結果、誰でもない自分になってしまう自分を表しているようでもあります。「素敵な色だったけど〜」はアリーと同じ赤色に染めた自分の髪を、黒く染め直して言った言葉。こうやって彼女はまたなれそうな誰かを探しに街を移る。それはきっと空っぽの自分を受け入れてくれる誰かを探す旅だったのかなと思いました。そしてこのあと映画のフィルムでアリーの前に現れるヘディに繋がるように終わらせてみました。
”数週間だけど愛されて幸せだった。さよなら。”
これはヘディのセリフではなく、劇中のテレビで流れていた古い映画のセリフです。このときはまだ映画(ルームメイトのこと)も前半でヘディとアリーは仲の良い女友達でした。二人の仲の良さを表すシーンの締めに、二人で眠ってしまった真っ暗な部屋でつけっぱなしのテレビからこのセリフが流れます。このあと徐々にヘディは奇行が増えていきますから、映画を作った人は意図して入れたのでしょう。他にも鏡がたくさん出てきたり、細部や背景の演出にとてもこだわりを感じる作品でした。作りながら何度も見返して色々な発見があるのが味わい深く、とても楽しかったです。ちなみにこの絵は映画作品のダイジェストになっていて、全部手描きの原画です。めずらし〜☆本体である映画のほうをモノクロにすることで、最後の絵のあとに待ち受けているものと対比してみました。
絵の作り方は、今まで自分が表現したくて上手くできていなかったものが、一つの形にできたことで達成感があります。ぼくを昔から知っている人は「変なこだわりが無くなって、サトウコウタって人はこういう作家だというのがよく現れている」というようなご意見をいくつか頂きました。とても嬉しい。
反省点は、まず選んだ映画がマイナーすぎた! もうちょっと多くの人が見たことあるタイトルでも良かったかな、と思いました。。。時代性みたいなものをあんまり意識してなさすぎるなと(営業に行った出版社の人にも言われた)。
ちなみにマリーゴールドを随所に散りばめたのですが、映画には出てきません。なにか彩りで作品に似合いそうな花を探していました。映画の舞台はニューヨークで、ヘディが以前いた街はフロリダ州タンパ。どちらも大都会であの根暗なヘディにはあまりに不似合い。こんなあからさまな大都会ばかり選んでいるってことはきっと田舎者なんだろう。映画冒頭の双子のいる化粧部屋はかなりゴージャスで、親から仕送りをしてもらって暮らしていたようなので、田舎のお金持ちなのは間違いない。じゃあそういう家にありそうな花って?
…で、マリーゴールドなら田舎の豪邸の庭に咲いてそう。花言葉は「嫉妬」「絶望」「悲しみ」。ああ、これはヘディの花だ、という流れで入れたのでした。その辺の説明もおざなりだったことも反省ですね。。。
他出展者のみなさんの作品。
タナカマユミさん「オズの魔法使い・ドロシーその後」、コンドウカヨさん「ルパン三世カリオストロの城・クラリスその後」
大場綾さん「桐島、部活やめるってよ・沙奈その後」、松井晴美さん「セルジュ・ゲインズブール&ジェーン・バーキンの家庭生活」
さて、今後の予定ですが、8月30日(土)のコミティアに参加が決まりました!
何を出すかというと、5月に大量に作ったブックカバーを再度販売します。
他出せそうなものがあれば追加していくつもりです。
コミティア113
開催日/2015年8月30日(日)
会場/東京ビックサイト東2・3ホール
入場料/ティアズマガジンの購入が必要です。書店などで事前購入も可能。
出展ブース/ジャンルD(グッズ・雑貨)No.N28a
いつものギャラリーやギャラリーカフェと違って、新開拓の会場ですのでとても楽しみです☆
まだこちらは準備にかかっていないので、逐次お知らせしていきます。
ぜひぜひ、覗きにきて下さい〜♪
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