3/9はミクの日ってことでSNSは「初音ミク」のイラストでお祭りになりますね。
なんか見てるととても楽しそうなので、ぼくもこの祭りに乗じてみたいなー、などと思いましたが、こんなに自由に描いてていいのかな?そういえばミクの著作権ってどうなってるのかな?と思って調べてみました。

初音ミクの管理者

初音ミクの著作権は各種ボーカロイドを販売しているクリプトン・フューチャー・メディア株式会社という会社が管理しています。ぼくの故郷、北海道・札幌市が本社!東京じゃない!
こちらが運営している二次創作投稿サイト「piapro(ピアプロ)」にライセンスについて細かく記載されています。そちらからいろいろ引用。
※引用出展全て:piapro(ピアプロ)キャラクター利用のガイドライン

ピアプロ・キャラクター・ライセンス(PCL)について

一般に「版権物」と称されるキャラクターについて、原画をそのままのかたちで、またはみずから描いたイラストなどのかたちにして(いわゆる「二次創作物」)、その権利者の許諾がないままインターネットなどで公表することは、著作権法などの法律によって禁じられています。『初音ミク』などの当社キャラクターも、法律によって同じように扱われます。
一方、クリエイターにとって、自ら汗をかいて制作した作品を、それが二次創作物であってもインターネットなどで公表したいと思うことは自然な願望です。当社も、営利を目的としない利用については、当社のキャラクターをできる限り使っていただきたいと思っています。
そこで当社は、クリエイターと権利者双方の願いと、現行著作権法とのギャップを埋めるため、営利を目的とせず、かつ、対価を受け取らない場合(非営利かつ無償の場合)の当社キャラクターの二次創作物の利用について、ピアプロ・キャラクター・ライセンス(以下、「PCL」といいます)という利用許諾契約を用意いたしました。
PCLは、著作権法ではごく限られた範囲でしか認められていない著作物の「原則OK」となる利用範囲を、当社のキャラクターに限って拡張するために、当社とクリエイターの間で結ぶ契約です。
ピアプロ・キャラクター・ライセンス(PCL) 要約
ピアプロ・キャラクター・ライセンス(PCL) 正文
PCLを結ぶには、特別な手続きを必要としません。利用者であるクリエイターが当社キャラクターの二次創作物(「二次創作物」の定義はPCL第1条第1項第5号をご覧下さい。)を作成し公表することで、その利用者と当社の間に自動的に契約が結ばれます。これによりすべてのクリエイターは当社に直接連絡し確認をとることなしに、PCLで許諾された範囲で、当社キャラクターを二次創作してご利用いただくことが可能になります。

前に著作権に強い弁理士さんのワークショップで著作権について教わったことがあります。
*ブログ→著作権の勉強会

著作権の勉強会先日、お友達イラストレーターの著作権勉強会に誘っていただきました。 弁理士の先生から著作権の概要を説明していただくという、とてもわかりやすい講義でした。 正直ぼんやりとしか理解していなかったところもあり、改めて教わり目から鱗でした。 著作権というのは、個人に与えられた「…


その時の認識だと、あくまで著作権は権利者が保有するもので基本的に他者へ譲渡はできず、他者が権利を行使することもできない、ということでした。


上の引用はざっくり言うと、権利者の権利を持って二次創作がしたい皆さんの作品制作を認めます、という意味ですね。前のブログのように著作権を土地の権利に置き換えてすっごい要約すると「皆さんの遊びたい気持ちはわかるので、うちの庭では逐一報告しなくても自由に入って遊んで良いですよ。ただしここはうちの庭なので勝手にお店開いたり外に持ち出して転売したりしないと約束してくださいね。」という感じで良いかな。
大抵キャラクターを持っている企業は他者がキャラクターを無断使用することはリスクの方が大きいから制限しているものだけど、クリプトンさんは英断ですねー!

本当に描いてもいいの?

とはいえ、自社のコンテンツを使って知らないところで営利が発生するかもしれないことも避けられない訳で、自分とこの庭に成ってる実に勝手に高値つけて商売されたのではたまったものではないですよね。その辺はどうなってるのかなー?

ピアプロリンクについて

PCLでは、たとえ営利を目的としていなくとも、対価を受け取る場合(有償の場合)には、当社キャラクターの二次創作物の利用を認めておりません。しかしながら、一方では、個人や同人サークルが、原材料費程度の支出を補うために必要最小限の対価を受け取って当社キャラクターの二次創作物またはこれを含む物品を配布しているという実情またはそのニーズがあります。
そこで、当社は、既存のCGM文化が根ざしてきたこのような風土を尊重することがさらなる文化の発展に寄与するとの考えから、PCLの許諾範囲外である対価の受け取りを伴う二次創作活動などを希望するクリエイターの皆様に対して、実験的な試みとして「ピアプロリンク」という仕組みを用意いたしました。
ピアプロリンクは、営利を目的としていないものの、実費程度の対価を受け取る場合(非営利かつ有償の場合)の当社キャラクターの二次創作物の利用について、当社にその利用を申請するためのウェブ上のサービスです。同人サークル等では、実費程度の対価を受け取って小規模に作品を配布するようなことが多いことから、そのような趣味の範囲での利用に関しては、必要以上に複雑な手続きにしたり、厳しく内容審査したりせず、スムーズに利用申請できるようにしています。ピアプロリンクについては以下をご覧ください。
[参考]B.非営利かつ有償の利用について
ピアプロリンクのご利用手順
ピアプロリンク利用規約

この辺に関してもがんじがらめにしないで二次創作の同人活動を持続できるような仕組みが作られていました。ピアプロリンクを利用していないので内容まではわかりませんが、きちんと通り道は用意してありますね。文化としての二次創作についてすごく考えているし、それをシステムとして実行しているのがすごいなー。
それでも流石にやっちゃ困ることもある訳で、

当社が禁止している利用(絶対NG)

・当社、当社製品または当社キャラクターのイメージを著しく損なう利用
・利用する作品の著作者の社会的な評価を損なうような利用
・公序良俗に反する利用
・他者の権利を侵害する、または侵害のおそれがある利用
・当社公式製品のような誤解を招く利用

まあ、これは普通のことですよね。さらに

個別に契約を締結することで可能となる利用(原則NG)

以下のような当社キャラクターの利用については、当社はその詳細を検討のうえ、個別に契約を締結した上で利用を許諾しておりますので、利用を開始する前にお問い合わせ下さい。
(1) 法人による、営利、非営利の別を問わないあらゆる利用。
(2) 個人または法人格のない団体による、有償、無償の別を問わない、営利を目的とする利用(広告、宣伝、広報等の活動に用いる利用を含み、これに限られません)。
(3) 個人または法人格のない団体による、非営利であるが趣味または学校教育の範囲を超える規模の利用。
(4) 自然人、法人、法人格のない団体を問わず、他者が制作した当社キャラクターの二次創作物またはこれを含む物品を、業として販売し、または委託販売を受託すること。

これも当たり前のことですが

(2) 個人または法人格のない団体による、有償、無償の別を問わない、営利を目的とする利用(広告、宣伝、広報等の活動に用いる利用を含み、これに限られません)。

ここでちょっと疑問が。
ぼくのような個人事業主が趣味ですといって描いたものをSNSでアップしたらどうなるんでしょう?
営利を目的とする利用(広告、宣伝、広報等の活動に用いる利用を含み、これに限られません)ではないけど、ぼくのアカウントはプロのイラストレーターとして利用しているもの。行為が非営利目的でも公開先が事業者なのでやっぱりアウトなのかな?同人もやってるプロの作家もいる訳だけどその辺どう判断されるのか、なんとなくぼんやりした書き方なのではっきりしないですねー。果たしてぼくはミクの日祭りに参加できるの?

わからないから問い合わせてみた

ぼくは法の専門家ではないし、考えようにも基礎知識がないので思い切ってpiaproに以下の文面でメールしてみました。

私は個人事業でイラストレーターの仕事をしております、サトウコウタと申します。
キャラクター利用についてのガイドラインを見たのですが、私のような個人事業主が御社のキャラクターを個人的に制作してWEB上で発表した場合はガイドラインに抵触するのでしょうか?キャラクターイラスト自体を自身の宣伝目的で制作しなかったとしても、同人ではない事業者としての名義で発表する際には結果的に宣伝行為に当たるのではないかと疑問に思い、確認したくメール致しました。

するとものの1時間ほどで返答が!個人的な質問なので早くても1〜2日くらい待つと思ってたからずっと早かった!

クリプトン・フューチャー・メディア株式会社です。 (中略)
お問い合わせの件に関しまして、趣味で行っているSNSやサイトに、趣味での目的で描いた弊社イラストを載せるのは問題ございません。
しかし、自身が行っている個人事業で使っている公式SNSや公式サイト等に載せるのはお止めください。

こういう質問わりとよく来るのでしょうか。テンプレというか解答例みたいな感じですが返信も早い訳で。それはともかく、なるほどー。
結果として宣伝行為に当たるかもという疑問は黒でしたね。という訳で

個人事業主は事業名義のWEBで公開しちゃダメ!

もうちょっと突っ込んで聞きたい部分もありますが、ぼくはライターじゃないし、とりあえずスッキリしたのでこれでおしまい!ぼくの描いたミクさんは皆さんには公開できませんが、どうしても人に見せたくなったら別名義で事業名に紐付けしない形でアカウント取るなりすれば良いと。
ミクが好きな人も「みんながやってるから」じゃなくて、大好きなキャラクターを守るためにもガイドラインはちゃんと読んでおきましょうね。
ここで引用したよりたくさんのことが下のリンク先に記載されてます。ついでにピアプロに登録しておくと良いかも。
クリプトンさん、ありがとうございました。そしておめでとう初音ミク!

piapro(ピアプロ)|キャラクター利用のガイドラインPIAPRO(ピアプロ)の「キャラクター利用のガイドライン」ページです。